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八王子市
市民活動支援センター
〒192-0083
八王子市旭町12-1
ファルマ802ビル5階
連絡先
TEL:042-646-1577
FAX:042-646-1587
開館時間
火~土:10時~21時
日祝:10時~17時
休館日:毎週月曜日(但し、祝日の場合は開館し、翌日火曜日を休館とします)・年末年始(12月29日~1月3日)

過去のイベント

【アクティブ市民塾】 2016年1月「夢を叶えた人に聞く”地域の茶の間の作り方”」


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実施団体

NPO法人地域医療・福祉の明日を考える会

活動報告

1月24日(日)、アクティブ市民塾1月講座「夢を叶えた人に聞く 地域の茶の間の作り方」を開催しました。
今回ご紹介する団体は「NPO法人地域医療・福祉の明日を考える会」です。
代表の大倉民江さん、事務局の浅野里惠子さんにお話を伺いました。

<大倉さんの想い>
今日はこの館が丘まで多くの皆さんにおいでいただいて、ありがとうございます。
お茶の間「民」の「民」は、みんなの「民」と私の名前の「民」です。
みんなから支援ではなく、志援をいただいて運営をしています。
「夢を実現させた」と書いてありますが、まだING、実現途中です。
NPO法人は一人ではできません。想いだけではできません。
NPO法人の立上げには浅野さんの協力があったからこそです。
いつか私はこの団地の中で地域の居場所を作りたい、昔あった近所のたまり場の縁側のような、お惣菜を持ち寄ってお茶をするような情報交換の場を作りたいと、1年に一回講演会をするなど、10数年NPOとしてできることを続けてきました。


<経緯>
私はソーシャルワーカーとしてずっと医療に携わってきました。
仕事で経験してきた相談は私の財産です。
病気にを持った時に生活レベルを下げないで生きていくためにどうすればいいかというアドバイス、支援をしてきました。
そんな経験から、60歳の人が病気になって20年経ち、80歳になったらどうするのか、地域で行き場がなくなったらどうなってしまうのか、場があったらいいな…相談もでき、世話好きのおばちゃんがいて、助けたり、助けられたりできる場…そんな想いを持ち始めました。
勤めながらNPOとして、医者、看護の方の力を借りて講演会などの活動をしていました。
鎌田實先生の講演会がターニングポイントになりました。病気、老い、地域の中で支える場、医療と地域のドッキングが必要という内容に、「場」を作ろうという想いを強くしました。
65歳で定年した後、さあ本格的に「場」を作ろうと思いましたが、「場」には屋根が必要、でも資金がありません。
館が丘団地は、40数年前にできました。私が引っ越してきたのは30年前、その頃は人も大勢いて、賑やかで活気に溢れていました。
40年が経ち、子どもたち世代はが出ていってしまい、残されたのは70〜80代の年老いた父母たちです。
5階建てにはエレベーターがないので、 3分の2くらいしか入居していません、空き家が多い状況です。
商店街は寂しくなり、生活もしずらいので、若い人もほどんどいません。
だからこそ助け合いが必要なんです。おせっかいおばちゃんでいい、「ごはん大丈夫?」といってくれる人が傍にいることが大事なんです。

<実現に向けての準備>
65歳で定年してからこのお茶の間「民」を立ち上げるまで10年かかりました。
定年後、恵比寿で8年間相談員をしましたが、その傍らで調査を始めました。
まず商店を借りたいと思い、住宅都市整備公団(現UR都市機構)に交渉しました。「家賃13万円を半分にしてほしい」と。その結果、「最初の6ヵ月間は無料、その後は通常通りいただきます」との回答でした。
その上改修費に500万円くらいかかることがわかり、3年間位もんもんとしていました。
その間に「シルバーふらっと館が丘」ができました。
そこで、ふらっとで相談業務を始めることにしました。週1で参加、1年半、コーヒーを淹れながら地域の人とおしゃべりをしたり、時には相談を受けるなどして、ニーズの把握に努めました。
そしてふらっとの協力を得て、ボランティアに来ていた法政大学ボランティアセンターの学生さんの力も借りて、80歳以上の一人暮らし、老夫婦世帯の家庭訪問を開始しました。
しかし、団地はドア一つで外との境界ができ、そのドアがとても重く、開けてもらうことがいかに大変かを知りました。人との接触を嫌う方も多くいました。
どうしたらドアを開けてもらえるか、学生の方とも検討をしながら、1日、1軒コツコツと訪問を続けました。
お留守でも、ドアを開けてくれなくても、「私が誰で、何をしに来た、相談はここに来てください」というメモを必ずおいてきました。
これは、コミュニケーションを正確に伝えるために必要なことです。それが信頼関係につながり、財産となります。
そして、一年半かけて、164軒を訪問することができました。

<いよいよ始動>
1年半の家庭訪問を経て、私の思いはより高まり、浅野さんに「やっぱり作りたいけどどうしよう」と相談をしました。
そして、まずは人、志を持っている方、何かボランティアをしたいと思っていた方など5〜6人が集まってくれました。
「場」はどうしよう?3年前に館が丘クリニックのドクターに相談しました。
「作りたい!でもお金がない!」
「元気なシニアを作りたい」
「健康寿命を延ばしたい」
「お茶のみできる場」
という熱意だけを伝えました。
そうしたら休診日の木曜日と日曜日を快く貸してくれることになったんです!もちろんタダで!
さあまた浅野さんに相談です。
12月に許可を得てから、パンフレットやチラシ作り、維持していくための資金計画、看板…そして5月にとうとう開設をすることができました!
一人でも二人でもいいから来てほしいという思いで、チラシを配り、最初は5〜6人から始まりました。


<運営について>
○参加費
参加費は1人1回100円、午前と午後なら200円です。
お金をいただく、これはけじめです。
入口に箱を置いているだけですから、足りない時もあります。
払えない人もいる、これをわかることは大事です。
でも自尊心を傷つけたくありません。
また来てくれればいいな〜と思っています。
来てくれる、楽しく過ごす、また来てねの送り迎えの繰り返しです。
○集団で過ごす和
皆さんにお配りした予定表のように、いろいろなプログラムを実施しています。
時にはクリニックにあるカラオケを使って歌うこともあります。
そんな時大切にしているのは「集団で過ごす和」です。
お互いにちょっとだけ我慢してみんなで時間を過ごすことの大切さです。
100人のうち、99人が不愉快な思いをさせた人には、その場で注意をします。
でも不愉快な思いのまま帰したくないので、後でフォローをしています。
みんなにここで元気で過ごしてほしいのです。
○ 生産性のある体験
みんなで雑巾を縫ったり、折り紙でごみ箱を作ったり、いろいろな手仕事をしています。
みんなが何かしらいろいろな知恵、能力を持っています、みんな素敵なものを持っています。
そこを励まし、褒めるように心がけています。やればみんなできるんです。
できたものはお誕生会に配ったり、お世話になった人に配ったり、被災地に送ったり、病院見学の際にお土産で持った行ったりしています。
そうするとお礼を言われ、それが生きがいにも通じ、そして、健康へも通じます。
生きがいを感じることは健康につながります。
○プログラム
地域の人材を引っ張り出し、その得意技を活かす…編み物、折り紙、布草履作り、ハンドマッサージ、ギターなど
楽しい交流の場…カラオケ、将棋、月1食事会
お出かけ…デイキャンプ
福祉・医療との連携…薬剤師さんによる講演会「薬の話」、栄養士さんによる食べることの講演、病院見学 など
○多世代交流
多世代交流は大切です。
今はちょっとしていないのですが、子どもたちの笑顔は元気をくれます。
今後も地域の子どもの施設と連携をして取り組んでいきたいと思っています。
○地域との連携
つながりやお互いの力を活かしています。
ケアマネジャーにも入ってもらっています。
最初はこちらから声をかけて来てもらっていましたが、今は友人としてフラットな立場で参加してくれています。
寺田の包括支援センターや館こども支援センターとも連携をとっています。
○スタッフ
人材は大切です。活動をするうえで心を割って話せる人、言い合いができる相手がいることが大事です。
仕事の関係もあり、医療関係者が多いです。その人脈を活かして、様々なプログラムを行っています。
お昼、お結びを持って来れば、おかずを持ってきてくれる人がいるので、みんなで食事ができます。
○課題
経済的な問題はいつでも課題です。
利用料だけでは運営できません。
今は八王子市の市民企画事業補助金を受けてとても助かっていますが、2年目なので、後1年しか利用できません。
○継続
自分の年齢を考えると今後の継続は心配ですが、気持ちを10%残して継続していきたいです。
福祉+介護と遊びが半々で取り組んでいってほしいです。
○民ニュース
プログラムを書いたチラシ「民ニュース」を毎月作ります。
その裏には私の思いを書かせてもらっています。
このチラシは、この館が丘クリニックにおいてもらうほか、利用者の方が持って帰って地域で配ってくれています。
年に1回は全部に配布しています。

<最後にメッセージ>
場ができることで、笑顔を笑顔がつながり、地域で知り合いが増え、友人ができ、その友人に会いに来ることができます。
どの地域も同じだと思います。
いい仲間を作って、馴染めて、増やしていく、それぞれがそれぞれの場でできます。
ぜひ各々の地域でいろいろな活動を始めてほしいと思います。

<質疑応答>
?スタッフは何人?
4人、団地内の方です。当日の運営を手伝ってもらっています。
事務的なことは大倉、浅野の2人が中心です。
?生活活動の材料は?
地域の方にいただいています。
毛糸、古い着物、浴衣など、家庭でいらないものを持ってきてもらっています。
そして、毛糸をくれた人には、それで作ったものをあげるようにしています。
いただいたものは目に見える形で、確実に活かすことを心がけています。
?クリニックの支援は?継続のリスクは?
口約束のみですので、考えなくちゃいけませんね。どちらかが倒れるまでかしら?(笑)
当面はクリニックさんがダメだよというまではそのまま使いたいです。
?民ニュースを出される際のスタッフの参加は?
スタッフの打合せは、開催当日の9時半からその日のことを話し合う程度で、プログラムを決めたりするのは私が行っています。
後、例えば、ハンドマッサージをしている際に利用者の方から伺った話、相談などは、必ず共有してもらうようにしています。
?利用者は?
月延べで200名くらいです。 今のところ、自分で歩いてここまで来れる人が対象です。
将棋などもあるせいか、男性が多いです。
来たら必ず名前を書いてもらって、登録者は200名ほどです。
これは、もしものために保険をかけていますので、名前は必ず書いてもらうようにしています。
?集会場を使うことは考えなかったのか?
集会場ですと、その都度借りる必要がありますし、定例的に独占できません。
お金も毎回かかりますし、初めから集会場という考えはありませんでした。


この後、実際にお茶の間「民」にお邪魔しました。
スタッフの方も勢ぞろいで迎えてくれました。
おいしいコーヒーをいただきながら、実際の現場でさらに活発な質問が飛び交っていました。
場はクリニックのリハビリテーション施設、病院側との約束事の中、工夫しながら 使っている様子がよくわかりました。
話は尽きないのですが、この館が丘地域は、商店街の空き店舗を利用して、シルバーふらっと、小規模多機能ゆらリズム、自治会によるカフェ、自転車タクシーなど、地域の高齢化に対応しようと様々な取り組みがあり、それらを最後に見学して終了となりました。

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